すぐさまアルマちゃんの家へとお邪魔させてもらった私たちはそれはもうすぐさま遊びに行く準備をする。

私もユウも互いに背を向け合って居間のすみにリュックの尻をついて。しゃがんで荷物をひたすらに整理する。
遊びといったら持ち物は、お菓子にマットにお弁当、お財布爆竹ブーメラン……は折れてるからタマと遊べるフリスビー、ボールに地図にまたお菓子──

「釣り!」

──背中越しにウワーンみたいな声が響いた。
あのウワーン、全くわかってない、女の子を遊びに連れて行くのに釣りですって?!

「演劇!」

振り向かずに返してやった。
アルマちゃんも演劇が見てみたいと言っていたから鉄板はこれだ。

「演劇最終日!買い物!」

「お洋服!?」

「武器!!」

「なんでよ!お洋服!!」

「その後武器!!」

「だからなんでよ!?」

「魔物狩り!!」

「物騒!」

「じゃあ貸し出し研究室!」

「なんでよ!?」

「面白いのがある!」

「それむしろ私がみたい!いい!?アルマちゃん!」

「え!?……あ…はい!」

「その後貸し出し厨房!!」

「それむしろ俺が食いたい!」

「まだなにも言ってない!」

いつも通りのやりとりだ、私とユウにとってはこんなことは日常茶飯事だけど、アルマちゃんは飛び交う私たちの単語にあわててしまって視線をいったりきたりさせている。
確実に遊べる期間は三日、うまくいけば私たちがここを去るまではアルマちゃんと遊べる。
でも逆に言うと、時間は私たちがここを去るまでしかない。
どうせなら後悔しないように、出来る限り沢山楽しませてあげたい。さっきから出てくる案は色々アレだけど、きっと気持ちはユウも一緒だと思う。

てんやわんやではあったものの、予定立てと外出準備は迅速に進んで、私たちは街へと降りると少し遅めの昼食をとった。
この段階ではまだまだ緊張気味でぎこちなかったアルマちゃんだったけど、ご飯の後に映画を見て、買い物──ほとんどお洋服ばっかりだったけど──をして、宿を取って着替えて、貸し出し研究室でユウの魔法をみる頃にはすっかり元気に楽しんでくれて
いた。
街の外の高原でタマとも遊んで、くたくたになって貸し出し厨房で夕飯をとって、その日も私はアルマちゃんと一緒にお風呂に入って、また寝る前にお話をした。
二日目は、ユウの提案に沿って街の娯楽施設で遊び回った。その後はとりあえずちゃんとアルマちゃんの家へと帰ることにした。三日目にはゴブリン達との契約の話があるからだ。
そのことについて訊ねようと、私たちは日が落ち掛けた頃に集落へと戻って長老宅へと伺った。
長老宅にはたくさん人が集まっていて、なにか妙に重い雰囲気で迎えられた。
その鉛色の雰囲気から、契約の話を無かったことにしてしまうのかと思って私とユウは長老に話を聞いたところ、どうやら契約はちゃんと結ぶことにしたらしい。
長老の話によると、契約の話は勝手に集落の方で進めるから、私たちは三日目もアルマちゃんを連れて街へと降りてて良いそうだ。
でも、四日目は、実際の契約の五日目に備えてアルマちゃんにも手伝って欲しい準備があるそうで、四日目の夕方にはアルマちゃんを長老宅へと帰すということで話はまとまり、私たちはアルマちゃんの家へと戻った。

その日の晩、すっかり私たちと遊び慣れちゃったアルマちゃんは、私がお風呂に入ろうとするとさも当然の様にお風呂場までついてくるぐらいに私に懐いていた。
なんだかちょっといけないことをした気分になったけど……私はぜんっぜんかまわない。
なんてことを考えていたら、またユウにどや顔を注意された。


──そうして迎えた三日目の朝、待ちに待った演劇の日……街だけに!!
実は私も演劇は楽しみにしていた、演劇そのものじゃないけどね。
アルマちゃんは初めて会ったときから私に『演劇を見てみたい』と言っていた。つまり今日、私たちはかねてからのアルマちゃんのささやかな夢を叶えてあげられることになるのだ。
嬉しそうなアルマちゃんを想像するだけで、私は朝食のごはんを三杯いけた。
食べ過ぎだって、ユウにまた注意された。

面倒ごとは極力避けたかったため、私たちは集落にゴブリンが現れる前にポポラマ山脈を下山する事にした。

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー 小説へ
続きが気になる

スポンサーサイト



コメント
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 

トラックバック
トラバURL:  
この記事へのトラックバック