状況が──一気に動いた!

アルマちゃんのか弱い悲鳴が響いたのと同時に、集落の男の人たちは慌ててアルマちゃんの方を振り向くいた。
それをみるやいなや、彼らと対峙していたゴブリンの群が奇声をあげつつ、その小柄な身体からは想像もつかないほどの速さと力強さで武器を振りかざして集落へとなだれ込む。

「タマぁあ!!」

ユウの声に弾かれるように動き出したタマは、その巨体を遺憾なく駆使して先頭集団のゴブリンを一掃しつつ、交戦を始める。

「アルマだ!アルマがなにかにやられた!まもれええぇええ!!!」

「……なっ!なんだあの狼は……!?
ご、ゴブリン共とやり合ってる……?」

「加勢しろおおお!!」

「魔物!?魔物なのか!?」

様々な箇所から、様々な声が挙がった。
アルマちゃんの安否を気遣う声。タマに驚き、畏怖する声。タマに加勢するように、ゴブリンへと向かう声。
一度落ち着くようにと、投げ回される声。

いまいち状況が飲めていなかった私達が放った第一手が、集落全体も混乱に陥れてしまったみたいね……でも!

──アルマちゃん!!」

「ティア!お前はアルマと状況説明を!!
俺はタマに加勢する!!」

「うん!!」

やることは一つだ。
アルマちゃん及び、集落の安全の確保。
うごめく人とゴブリンたちの群へと向かって、風の魔力を纏ったユウが割り入っていく、着地点で大地の花が開いたのが見えた。
………集落の人もいるんだから、あんまり派手に魔法使っちゃだめだよ、ユウ……!!

私は私で家の煙突に着地後、すぐさま屋根を蹴り、アルマちゃんの前へと降り立ちつつ剣を構える。

「……けほっけほっ!どうして……!?
ゴーレムが……!!」

土煙で様子はみえないけど、確かに私のすぐ後ろでアルマちゃんの声がする。
……無事でよかった……!

「──なっ!!あんたは!?」

「加勢します!アルマちゃんは私が守りますから!皆さんはユウとタ──っ!あの黒い男の子と白い狼と一緒にゴブリンを!!」

土煙が晴れ、私の目の前には青ざめながら駆けてきた集落の人たちがいた。
そして後ろには土煙でむせかえるアルマちゃん。
集落の人たちは、私とその後ろのアルマちゃんを見るなりほっとしたような、またはいぶかしむような様子を見せて、次いでまじまじとメイガスエッジを眺めてくる。


「あ……あんたらが……『アルマのゴーレム』を一撃で……!?」

「……へ?」

どういう意味だろうか。
『アルマのゴーレム』……?
振り返って、咳を飲み込んだアルマちゃんを見る、アルマちゃんの周囲には、少なくともユウを相手にするときも、リリーナやライラさんの時にも見たことのない形の魔法陣の反応痕がうっすらと残っていた。
やがて消え去ったその形に、脳裏に浮かんだのはタマジローさんの『どこでも魔法陣』、あれに近い雰囲気の魔法陣がアルマちゃんの周囲にあったようだ。

「けほっ!んぐっ!……はぇ!?てぃ!!ティアさん!?けっほ!!」

「アルマちゃん!大丈夫!?」

「あっ!ちょっと驚いて……えほっ!!
それよりも今は──!!」

アルマちゃんの視線の先に、私は状況を思い出した、そうだ、ユウとタマが戦ってる!

「みなさん!お願いします!!
風のエール!!」

「──なっ!」

『よしきた!狼と魔法使いに加勢しろお!!』

──嘘!?はやい!?

私は目を疑った!
アルマちゃんから不思議な魔力を感じたかと思うと、振り返った集落の人たちがすごい速さでユウとタマに加勢していく!?

見間違いじゃない!今、アルマちゃんから何かの魔力を受け取った人たちと、最初からユウたちと一緒に戦ってた人たちじゃ全然動きが違う!!

「暁のエール!!」

今度はアルマちゃんがなにか、ユウの周りの人たちに魔法を使った。
……嘘だ……!
アルマちゃんから魔力を受けた人が振った斧が!……ただの集落の人が振り下ろした斧が……ほんの少しだけど、地面を抉った……!?

よ……よくわからないけど、明らかに武器の振り方も立ち回りも素人な集落の人たちが、ただのごり押しでゴブリン達を圧してる……!?
これが……もしかしてアルマちゃんが言ってたゴブリンを追い払うお手伝い……!?
……お手伝いどころか……アルマちゃんが、まるでアルマちゃんが防衛の……──!

ぼけっとしてる場合じゃない!
逃げるように、でも、明らかにこっちを狙うように、何体かのゴブリン達が激戦区を抜けでて駆けてきた!
狂ったように斧や棍棒を掲げながら向かってくる!
──アルマちゃんには、指一本触れさせない!

「来たよ!アルマちゃん!下がっ──

「ティアさん!?だめ!でないで!!」

──えっ」

アルマちゃんの声を聞いて、私はあわててバックステップでアルマちゃんの隣へと戻った。
すると、私が立っていた辺りの地面が地鳴りと共に盛り上がり、組み上がり、大小様々な、数体の土人形や石人形が出来上がった。
これ──さっき私とユウが破壊した──!?

「おねがい!!ゴーレム!やっつけて!!」

私は背筋に薄ら寒いものを覚える。
アルマちゃんの声に反応して、確かに土人形達は唸りのような、響きの様な音を上げ、腕を上げ、それを向かってくるゴブリン達へと振り下ろした!!

間違いない!
──意思をもってる!?……石だけに!?
じゃあ!なに!?さっき私とユウが壊したのって……まさか!!

あわてて私はアルマちゃんをみた!

──確かに人形にはアルマちゃんの魔力が宿っている。
アルマちゃんの周りにはみたこともない魔法陣──いや、正確にはさっき初めてみた──が展開されていて、それはただただ青白い光を放ちつつ、目の前の人形達に力を与えていた。

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