──アルメリア・ミラピナクル──

彼女は自身のことをそう紹介した。
ミラピナクルなんてまた変わった名前だったから、『ミラピ』って呼んでみようかと思ったけど、集落の人達からは『アルマ』と呼ばれていると彼女が付け加えたために、ミラピはお蔵入りになっちゃった。
またね、その自己紹介の時の動きがいちいち可憐で幼くて……というかさ!『えへへ…』って笑うんだよ!?恥ずかしそうにさ!!ねえ!!……なんかテンションあがっちゃった、私……!!
一人っ子にとって、妹や弟は憧れだ。
私は生まれてこの方ずっとこ一人っ子だ。
つまり、この子は、なんだろうか、そんな私の憧れの的だ。
コトちゃんと出会った時のような、憧れへの階段を昇る行為へのときめきが心臓を太鼓代わりにしてる。ドンドコドンドコ高鳴って……鼻息が…荒くなってるかも…!
なんだかもう、この子さ、見るからに妹すぎて私……私……もう、いいかなっ……て……えへへ…。
なにがいいのかはさておいて、早速私とユウは謎の建物の中へとあげてもらっている。
入り口で背中の籠が引っかかったけど、無理矢理引っ張ったらパツーン!って鳴って入った。

「ついてきてくださいね、長老のところへ行きます!すぐそこの部屋ですよ、客間です」

かわいい。

「はい、わかったよ。
ここは長老さんのお家か?」

「はい!わたしも長老と一緒に暮らしてるんですよ!」

あ、その笑顔、かわいい。

「へぇ…!アルマは長老さんのお孫さんか何かなのか?」

「いえ、いそーろーです!」

居候、ちゃんと意味が分かってるのかな?
難しい言葉で背伸びしてる感じがかわいい。
相乗効果で、初々しい敬語もかわいい。
ユウ、なにげにちゃんとお兄ちゃんしてて悪くない。

お兄ちゃんのユウが困った眉で私をみてる、きっと私の鼻息が荒いからだろう。大丈夫だよ、お兄ちゃん、そんな心配しなくてもさ……。
私はきっとこの子に手を出したりなんかしない、そう、多分手を出したりなんかしない……精々一緒にお風呂に入りたいぐらいだよ。
頭や身体を洗いっこして、歌いながら一緒に湯船に浸かるぐらいだ…。曲は……そうだ、かもめの水兵さんなんてどうだろう?アルマちゃん、10歳ぐらいに見えるからそれじゃ少し幼すぎるかな?でも、歌ってほしい。
それで、こう、お風呂のお湯がざぁっ!って溢れて、二人で「「きゃああああ!洪水だぁ!」」って笑い合いたいだけだ……!
……ずるいよ……!私もお風呂で姉妹の愉しい時を過ごしたい……!!
それで、夜は眠くなっておやすみなさいするまで、マジックフェアリーのぼんやり輝くベッドで素敵な童話やパペット人形劇をば──

「おい?……おい!ティア!?」

「……へ?」

「こっちだよばか!なにぼけっとしてんだよ…?」

「……は、ごめん……。
……あの、お風呂……」

「ああ?風呂?勝手に入っちゃダメだよ。
あ、こんばんは、長老さん。こんな時間に申し訳ありません。
……ほら、お前も挨拶しろってば…」

私だけ一人で廊下を直進していたようだ。
アルマちゃんとユウは一つ手前の部屋で右折して、長老様とご対面を果たしている。
いけない!完全にアルマちゃんのペースに乗せられてる…!!
あわてて廊下を戻ってユウとアルマちゃんが消えた部屋へと戻る。
そこには大きめの食卓と気持ちばかりのおやつ入りのカゴ。
そして食卓の奥の席に座ってる、うっすーい目をした、つるっつる頭の優しそうなおじいさん。あの小さいおじいさんが長老様みたいね。

「あ!長老様!こんばん──あっ!?」

「あ、ばか!」

──また籠だ。
長老様の部屋に入ろうとするなり、やっぱり籠が引っかかった。
見事に尻餅をついた自分が恥ずかしい。サウスパラダイスのリュックから成長してないじゃないの……今度から、荷物はちゃんと入り口の寸法を考えて詰めよう。
……こう、リュックがドアの形にフィットするように調整しながら荷物を詰めていこう。
最終的にリュックが四角っぽくなるように荷物を詰めていけば、きっと同じ量の荷物でも丸いよりドアを
通りやすくなるはず……今回は籠だからどうしようもないけど……。
ユウに手を引いてもらうままに、また無理矢理引っ張ったらパツーン!って鳴ってちゃんと入れた。

「驚いたなぁ、君たちみたいな子が、このポポラマ山脈で遭難だなんてな…!
ローブのお嬢ちゃんの方は大漁だねぇ」

「えぇ、お恥ずかしい限り……です」

私の籠をみるなり、なんとか部屋に入れた私をみるなり、長老様は顎髭をなでながらげらげら笑ってる。
みた目通り優しそうな人でちょっとほっとした。

「……特定危険区域内ですよね?……ここ……」

しかめっ面で鼻息を一つと、私に軽くデコピンをしたあと、考え事をするように顎を掻きながら虚空を見つめたユウが長老へと問う。
実に端的で含みのある質問だと思う、みじかいけれど疑問のすべてが詰まってて、いい質問の仕方だね!
………一つ致命的な問題点をあげるとするなら、ザックリしすぎ……。

「だからこそ驚いたんだよ、少年!」

ほら、ザックリした答えしか帰ってこない。

「……ですよね、俺も驚きましたよ。だからこそ。
あ、ユウ・ラングレルと申します、こっちはティア・アルノーティス、それから、今そこでアルマと戯れてるのがタマ。」

「ふむ、よろしく。
アルマは自己紹介を済ませたんだな。
私はこの集落で……一応長老と呼ばれている者だ……というか、君たちもさっき長老と呼んだし、それでいいだろう」

端的でいいと思う。
一つ致命的な点をあげるとするなら、それではあなたの名前がわからないです、長老。
それにしてもこういうときのユウの礼儀正しさ?というか、意外としっかりしてるところは素敵だと思う。
私も見習わないとなぁ。

「──それはそうと……『収穫』はあったかえ?」

「「『収穫』?」」

突然話を切りだした長老のうっすーい目が少しだけ鋭く大きくなった。
明らかに、長老から発せられる雰囲気が真面目モードに切り替わったのが見てとれる。
収穫は見ての通り、籠が部屋の入り口を通らないぐらいあるけど……どうも長老の様子をみると、言いたいことはそういうことじゃないみたい。
ユウもきょとんとした様子で私の顔を見下ろしてる。ユウも…ピンとこない……?

「隠さなくてもいい…君たちがこのポポラマ山脈へ入った理由は……そうだろう?」

何となく、長老の顔から言いたげなことを察した。
心当たりらしい心当たりといえばこれしかない、そうだ。

──ユウがローブを脱ぐとき、そのポケットに詰め込んでいたもの。

肩からかかっているユウのローブから、金塊を取り出す。


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コメント
ずるいよ! 私もそんなお風呂シーンが見たい! ←?
ついに、ついに、出たわね、アルマ!( ̄TT ̄)鼻血ブー
そして、ユウ!
その金塊、ちょっと調べてあげるから、こっちに寄越しなさい?(黒い笑み)

話変わって、ひーちゃん、お疲れのほうはどうかね? 少しは休めた?
年度末だし、忙しいよね…。
疲れてると、実生活はともかく創作の時に頭がうまく動かなくなるの、めっちゃ分かります。現実が忙しすぎると、空想の世界に上手く飛べなくなるから余計書けないんだよね~。私なんかもういっつも、「ごめん、忙しい、無理!」って、創作を放り出してたよ(´・_・`)。←オイ
疲れてるのかな?ってちょっとでも思うときは、リラックス出来る環境で、頭を使わないで出来る好きなことをするのが一番ですぜ~。リフレッシュにもなるしね。お風呂にゆっくり入ったり、寝るのもオススメ! 脳と体は結局繋がってるからね。
とにかく、無理はしないでくださいな。下手に大丈夫大丈夫って自分を騙して無理するとね、私みたいになるよ。というこわーい脅しをかけて、去ります(笑)
今日はひーちゃん、休みだといいなあ。
2015/02/07(Sat) 17:53 | URL  | のん #-[ 編集]
Re: タイトルなし
こんばんは!のんちゃん!
今日は休みだけど、昼過ぎからずっと内職してますよー……っと。
もうすぐおわります!あと一時間弱ぐらいかと……(´`:)

終わったらすぐにノアのはこぶね書こうかとりあえず何か食べようかは悩んでるとこ。
最初こそほんわかした形で始めてるけど、今回も呪いの館ばりに殺伐とする予定だから、今の内に暖かい妄想で見守っててくださいね!(黒い笑み)
そう考えるとサウスパラダイスってほんと軽かったよなぁと思う。妖精とか、ペールタウンあたりと比べてもさ。

仕事は落ち着いてきたから疲れの方は大丈夫!ありがとうございますm(_ _)m
仕事がそもそも楽な部類だからね!あんまり座れないこと意外は!だから、ちょっと休めば大丈夫!

創作の疲れ呆けに共感いただいてうれしいわ( ´艸`)
あれ?今自分なに書いてる?ってなるよね!

そしてさいきんは私もほっぽりぎみだね!(^^;)
一応、仕事も落ち着いてきたから毎日更新の感覚取り戻そうとここ数日間は頑張ってる(笑)
まだまだ無理はしてないけど、リラックスと睡眠はご忠告通り、重点的に摂っていきます(;¬_¬)

こわーい脅しがなにげにこわかったので(笑)

コメントとコメ返!いい息抜きになりました!
内職にラストスパートかけて終わらせてきます!!ありがとう!(´▽`)ノ
2015/02/07(Sat) 18:07 | URL  | 柚希 ひろ #-[ 編集]
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