二週間ぐらい前の話でしょうか。

私は疲れていました。
どうしてこんな思いをしながら生活をしているのだろうか?
毎日毎日同じ事の繰り返し、夢も希望も楽しみもない・・・私は絶望感に支配されつつもまたいつもと同じような料理を作るための材料を買い足しに近所のスーパーへと足を運んでいたのです。

スーパーにつくもいつもと同じBGM、商品棚、アナウンス、私は変わり映えのないそれらに小さな苛立ちを感じつつもお野菜のコーナーとおつけもののコーナーを回り、お肉のコーナーへとむかっていました。
これまたいつもと同じルート、なぜ繰り返しにイライラしているのにいつもと同じ行動をとるのかと、そこでも私は自身に苛立ちを覚えるのです・・・

私は、お肉のコーナーに並ぶ高級ステーキを目にし、あることを思ったのです。

『そうだ。贅沢だ。これで自分はきっと変われる。』

そう、思ったのです。

しかし唐突に贅沢だと言ってもなにをすればいいのかわかりません、ステーキだって、別に食べたくはなかった。
私は大人の贅沢について思考をめぐらせてみたのです

考えた結果それは、無駄

時間も、お金も無駄にし、かつ、無駄に手間をかける。
これは、余裕のある人間にのみ許される行為、つまるところ私のような人間には無縁・・・余裕を感じるために無駄な行為を重ねる、これは・・・

間違いなく贅沢なのではないのだろうか?

そして、無駄なものの塊をつかって時間を無駄にする、そう、くつろぎ。
なにをする事もなく時間を無駄にできるもの、たかいもの、手間のかかるもの・・・答えは・・・出たのです。

コーヒーだ。
いつもよりも手間とお金をかけておいしいコーヒーをつくり、それを片手に無駄な時間を過ごす。
どう考えても贅沢です、私はかごの中のジャガイモと鶏肉をわしわしいわせながら珈琲のコーナーへと向かうのでした。

しかし私はコーヒーメーカーもコーヒーに関する知識も持ち合わせていなかった、とりあえず苦そうなボトルコーヒーをジャガイモと鶏肉の仲間に入れてやります、苦そうなコーヒーがなぜか高級っぽく見えたからです。

しかし私はここでさらに気づきます。

苦いコーヒーあんまり飲みたくないかも!

と。

急いで今度はコーヒーのお友達のコーナーへと向かいます、ワクワクしていました、いつものスーパーで感じる高級感、非日常。
粉っぽいのとか、ミルクっぽいのがてきとーに手には入ればいいと考えていた私はコーヒーのお友達のコーナーにたどり着き、あるものを目にするのです。

名を

クレ○トップという。

なかなかどうして、高級感あふれるビン、やたらと短い消費期限、そして・・・値段。

気がつくと私は○レマトップのバーコードをセルフレジでスキャンしていました。
そこには確かに非日常があったのです、いつもの袋には、いつもはいないはずのボトルコーヒーとク○マトップ・・・

私は張り切って二階の日用品コーナーへと向かってそこで新しいマグカップとマドラースプーンを手に入れていました。
形から入るのが重要だったのです。
真新しいマグカップに注がれたボトルコーヒー、そこに混ざり入る美しい造形のビンより流れるクレマト○プ、突き刺さる、銀に輝くマドラースプーン。

想像するだけで幸せな気分になった私は急いで自転車をこぎ倒していつものアパートへとたどり着くのです。
右手に部屋の鍵、左手には・・・夢と希望の詰まったビニール袋をぶら下げて。

その日からでした、私はクレマトップの高級感に取り憑かれます、今にして思えば、味だのなんだのはあまり関係なかったのかもしれません、ただ、くつろぐときにテーブルに夢と希望のセットが乗っていればそれで満足でした。
ビスケットなんてあった日にはそれだけでストレスフリー、私ほど充実したティータイムに酔いしれている人間が世に何人いようかと、そんなことすら考えていました。

しかし事態は一変するのです。

毎日クレマトップを使っていた私はクレマトップの利用目的を忘れてしまうのです・・・

いつもと同じように部屋に戻り、ボトルコーヒーをレンジで暖め、クレマトップを流し込み、マドラースプーンでかき混ぜる。
最早この一連の動きに贅沢に浸るという考えは存在しておらず、その後に飲むコーヒーの味に重きを置くようになっていました。

苦いのです。

私は、砂糖を足しました、甘くて美味しくなりました

でも、コーヒー分が強い。

私は紅茶を用意するのです

もちろん午後○紅茶ストレート。

クレマトップを足すとそれも美味しくなりました。
味をしめた私は今度はもとの路線に軌道修正をしようと試みます。

苦そうだと、なんか高級そう。

私は次は午後の紅茶○いしい無糖を用意します。

そしてまた・・・砂糖を加えました、渋かったのです。



結局私に大人の贅沢は早かったのかもしれません、気づいてしまったのです。
いや、わかっていた・・・というより、それが目的ですらあったのですが・・・

『あれ?これ、無駄じゃない?』


今日、私は近所のスーパーに買い物に行きました。
かごの中にはジャガイモと鶏肉と

雪印○ーヒー
午○の紅茶 ミルクティー

が、乱雑にはいっていました。

甘くて手軽で、安くておいしいやつらです。
スポンサーサイト



コメント
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 

トラックバック
トラバURL:  
この記事へのトラックバック