唐突に物騒な記事タイトルで申し訳ない。
字として書いてあるとあんな感じだけど、実際読むとすると
『もうすぐ2014も終わりだね』
って読むんだ。

こちらから一つ質問いいかな?

あなた、こんな時期にこんなブログ見に来てどうしちゃったの?(´・_・`)

いや、わかってる。



でしょう?

もしくはよほど暇みたいね(´`:)
……まぁ、ブーメランなんだけどね。


みなさん年越しの準備はいいかな?
ストレッチとかちゃんとしておかないと怪我しまっせ?

そして聞いてくれ。


わたしはむなしい。


今、一人静かな部屋で普通に鶏しいたけの塩レモン煮を食べてる。

むなしい。

年を越してしまえば、あんなに長いと思ってわくわくしていた年末年始休みももうほぼ折り返し。
5日からはまた仕事で、面倒な一年が始まるのです。

まって、ほんとにむなしくなってきた


世は初詣だとか何だとかで華やかでうらやましい。

私は仕事納めの日に大掃除を済ませてしまい、会社から受けてきた内職も昨日の晩に全て片づけてきてしまった。


年初めに絵を描こうかとも思った。

わくわくする構図が浮かばなくてやめた。

途端にすることがなくなってしまったのです(´・_・`)


お餅買ったんだよ、私。
オーブンないし、魚焼くアルミも買い忘れた。
レンチンで餅食べてるんだけど、べっちゃべっちゃでねえ……。

惰眠を貪りすぎて眠気も襲ってこないし、動かないから食欲もわかずに、買ってきた食材の数々を余し気味で……うん、張り切ってカントリーマァム二袋も買ってきたのにね……手、つかない。


……………(´・_・`)



終わったな。2014……orz



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いや、逆だな。
これはむしろボーナスステージだ。
前向きな俺は嫌いじゃない。

どうせ最期なんだ、本当に死んじまうまで好きに暴れてもいいってわけだろ?
八つ当たりをさせてもらうぜ、山羊ども。
ただの一般人ならここで『あひぃいいいやああ!』って食われちまうんだろうけど、生憎俺は魔物慣れしてんだよ!
死ぬ間際にいつまでもいつまでも追いかけ回された人間の恨みは食い物関連の次に怖えってことを教えてやる!!

──一匹でも多く、道連れだ……!!

状況確認、足下には大小さまざまな石が転がっている。
背後は岩壁……使えるものは全部使う!

手頃で丸い石を二つ拾って握る、そこで耐えきれなくなって一匹が突っ込んできた。

相変わらず動きは単調、爪を振るか突進してくるかだけだ。
簡単だ。

「おらぁ!!」

きたねえ悲鳴が上がった。
カウンターで顔面に石をめり込ませてやった。
こいつらは普段から空を飛ぶことに特化している魔物だ、一度落としてしまえばリカバリーに時間がかかる。
手元の二つを威嚇程度にほかの奴らにぶん投げておいて、次は両手で持つのにちょうどいい、漬け物石サイズを持ち上げた。
それを、足下でのたうち回る一匹の頭へと思いっきり落とす。
赤黒いしぶきがあがり、それは次第に動かなくなる。
殺った。
ほかの連中もキレてるのかビビってるのか、なんとも魔物らしい鳴き声を上げながらこちらを威嚇している。
うるせえ、耳障りだ。立ち振る舞い一つで威圧するタマを見習いやがれよな。

「……一匹目だ……てめぇら全員覚悟しやがれよ……!」

たぶん、言葉は通じていない。
残る獲物はあと11匹、思ったより多い。
全員ぶっ飛ばしてやる!


───こいつらは馬鹿だけど、流石に俺が思ってるほど馬鹿ではなかったらしい。
始め、一匹だけで突っ込んだのが返り討ちにあったのをみて、次以降は二~三匹ずつ突っ込んでくるようになった。

流石に二匹以上でこられると、さっきみたいにうまくはいかない。
一匹の攻撃に気をくばりつつ、もう一匹にカウンター、威力は足りねえし、次々と四方八方から責められて、俺はなすすべもなくボコボコにされている。
もちろん、やめろって言ってもみたけど聞いてくれない。言うだけタダだろ?


違和感を覚える。
一般人とかわらないくらいまで弱っていたはずの俺が、魔物にボコボコにされるまで攻撃を受けても立っていられる、痛みもあまり感じない。

死なない。

初めてこいつらの爪が俺の首筋をとらえた時には本当にもう死んだと思った。
真っ赤な雨が降り、意識が遠のくところまでは想像できた…けど、実際には痛いで済んだ。
首筋を撫でると、確かに血はでていたけど、それだけだ。
明らかに丈夫さが戻っていた。
それからはもう雑だ。ひっちゃかめっちゃかでただ殴る蹴る。
命を左右するやりとりが、途端に子供の喧嘩以下だ。

小憎たらしい金切り声を上げつつ、人様のことをボコボコにしてくる魔物野郎達の内一匹に蹴りをくれてやりつつ俺は考えた。

なぜ、俺は生きているのだろう。

とだ。
もちろんここへきての哲学的な話ではない、もっと直接的で、事実にあった違和感に対する疑問。
こいつらから数時間くらい逃げれたことや、今現在ボコボコにされてても立っていられる時点でおかしいけど、それは、あれだ、人間やればできるってことにして、置いておく。
そんなことよりも、俺にはもっと死ぬべき瞬間があった。

そうだ、タマに投げられ、ティアに思いっきり殴られた時だ、あればかりは根性や偶然で説明がつかない。
あんなのどう考えても即死級だ。打ち所が悪ければ呪われる以前の俺でも死にかねない威力の一撃だった。
けど、俺はそれをモロに食らっても死ななかったし現にこうして生きている。

なんとなしに嫌な嬉しさがこみ上げてくる。

偶然にしちゃあ出来すぎているからだ。
ライラさんは言った。正攻法なら何とかなると。

ライラさんの言った正攻法は、感情のこもった一撃で黒の魔力を破壊するって話だった。
そこに感情が足りないと黒の魔力が集まりきらず、クッションになりきらなくて死ぬ。
魔力が足りなくても、黒の魔力の破壊にはいたらない。

俺は、ティアの一撃を思い出してみた。

あいつめっちゃおこってた。

しかも、ガキの頃から天才天才呼ばれてきたティアが、あのさんごの杖を使って思い切り振り抜いたんだ。


どう考えても、俺が死ななかった理由は一つ。


偶然にも呪いの破壊は成功していた


これに尽きる。

ということは、あれだ。
さんざん死ぬ死ぬ詐欺をこいた結果、ティアに苦しい思いをさせて、タマとかっこいい感じで別れてきて、蓋をあけりゃあ治ってました。ということだ。
不意に、やり場のない恥ずかしさと憤りを感じた。
山羊どもの声はうるせえし、大して痛くもねえぺしぺしが俺のストレスのボルテージを上げていく。

不意に、キレた。

故に、キレた。

「っざっ!けんなよおおおお!!!」

怒りに一瞬我を忘れた俺は、次の瞬間、視界に映っていた光景で我に帰った。

山羊どもが燃えていたんだ

木の実とか、人魂とかの火ではない、明らかに俺の身体から炎の渦が発せられていた。

魔法だ。

魔法に詳しい俺がそう思うのだから間違いない、確かに俺の身体から魔法が発せられていた。
俺も魔法使いとしてはまだまだだと思ったよ。

キイキイ悲鳴を上げながらあわてて逃げ去るお化け山羊どもの背中が小憎たらしい。わるいけど、ここは人間らしく八つ当たりをさせてもらうことにする。
暴れたくなった、枕に顔を埋めて足をバタバタさせたくなるような気持ちの延長だ。

「……逃がすかよ……!」

久々の自分の魔力を全身に感じつつ、俺は加速のための風の魔力を身に纏い、闇に溶けてく魔物の群を追う。

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昔の物語だ。

ナルキッソスとかいう男が、泉に映る自身の姿に惚れて動けなくなり死んだらしい。

間抜けだ。俺はそう思ってた。
でも、奴はそれだけ自分のことが好きになれたってことだろ?幸せ者だよ。
俺は元来自分があまり好きになれない。なにもかもが中途半端で、誇れるものなど使いもしない天性の剣技と、あとはあいつの相方であれたことぐらいだ。

俺にはナルシスト成分が足りない。
いざ、死ぬとなると人は冷静だ。俺は足りないものを得るために、タマと別れた後に森へと足を踏み入れた。
そう、泉を探し求めて。
夜の森は素敵な雰囲気でいっぱいだった。
光るキノコや燃える木の実、人魂……には素直にびびったけど、アリエスアイレス付近では見れないものがたくさんあって、俺の死への覚悟がすこし揺らいだ。
これらを使って、もっと魔法の研究がしてみたかったと思った。

街中や、その付近で死んだらやはり俺の死体は発見され、その姿がティアに見られてしまう可能性が高い。
そこで俺は考えてみた、最期に、足りない成分を確保しつつ死体を隠しつつ、美しく死ねる方法を。

死ぬならみんなナルキッソス作戦

俺は死ぬ直前まで泉で自分の顔を眺めて見ることにしたんだ。
そして死んだら自然と俺の身体は泉に落ちて、死体の隠蔽にもなる。
そうして俺はナルシストとしてこの世に生きたことを幸福だと感じつつ死ぬことができる。
完璧だった。
完璧な、はずだったんだ。
今にして思えば、俺は少し混乱していたのかもしれない。
疲れて判断力が鈍っていたのかもしれない。

どうかしていたんだ、自身が弱っているにも関わらず、剣はおろか、杖すら持たずに夜の森に足を踏み入れるなんて。

こうして魔物に追いかけ回されるまでは自分は綺麗に死ねると信じて疑っていなかった。

「ぜぇ!ぜぇ!ふざけんなよおおお!!!」

いや、わかってる、ふざけてたのは俺の方だった。

頭の上を鋭い爪が掠めていく。今、俺は死に近づいていた。
当たり前だ。死ぬとか死なないとか、そんなのは超俺個人の考えで、世界にとってはそんなの関係ない。

通称『山羊の角』と呼ばれる魔物達だ。
悪魔の様な黒い身体と翼を持ち、腕には剣を構えてるのかと錯覚させるほどに鋭く大きな白い爪。
頭には山羊の頭蓋骨みたいな骨格が発達していて、5~15匹程度で群を成して人間を襲う魔物だ。

こいつらにとっては、俺は夜中に丸腰でのこのこと森へと踏み込んできた自殺志願者でしかなく、餌だ。
俺がタマとの友情を分かち合ってきたことや、ティアに対する申し訳なさを残しつつ出てきたこと、ちょっとナルキッソスに憧れていることなんて微塵も関係ない。

俺は今、単に狩られる1動物でしかなく、ここまで俺が来た経緯やドラマなどはこいつらの舌に乗っかる調味料にすらなりはしない。

死ぬ覚悟は……きっと出来ていた。
でも、俺だって生き物だし、ましてや今は生きている。
黙って食われるほど甘くはない!
そりゃ食われりゃ死体の隠蔽くらいにはなるかもしれないけど、俺は自分の肉の味なんか知らないからな、もし思った以上に不味くて、こいつ等に残されたらたまったもんじゃねえ。
食いかけのユウ君の死体なんてもうそれ、ティアのトラウマ通り越してホラーだ。

てなわけでナルキッソスと成るまでにこんなところでおちおち死ねない俺は、始めは投石や木の枝で応戦してみたりもした。
石は当たらねえし、硬い木の枝を振り回しても10本ちょっとでやっと一匹を落とせたぐらいにして話にならなくて、俺は逃げ出した。
計算上でも硬い木の枝が百本近く必要そうだったからだ。
ちなみに燃える木の実も投げようとさわってみたけど、ちょっと火傷した。

火事場の馬鹿力って言うのか?
弱体化しているとは思えないほどに俺は森を駆け回れている。
メイガスエッジでもあれば、こんな奴ら十秒で片づいていただろう。
メイガスエッジはティア用に作られている分使いにくいけど、俺はあの翡翠晶特有の重ったるさが好きだ。遠心力が違う。

──なんて現実逃避してる場合じゃねえんだよなぁ……。
こいつら夜目が利く上に飛ぶし、多いしで全然逃げきれる気がしない。
いっそ街まで逃げて助けを呼ぼうかと思うけど……な、その途中で呪いで死ぬかもしれない。
あと、なにより格好わりい。
ナルシストにはそんな失態はゆるされない。

「っは……ぜぇ!
タマ……タマァァァアアア!!!」

……やるだけタダだろ?

泉を探して、クソ山羊どもをまこうとして、俺は数時間にわたって逃げ続けた。

そして、これほどまでに俺は自身の方向音痴を恨んだことは無かった。
足元から雑草の感触が消えて、気がつくと地面が砂利っぽくなっていて、俺は周囲の状況に気づかされる。
目の前には巨大な岩壁が切り立っていて、左右は逃げようとするとかえって捕まりそうなほどに木々がぎっしり。振り向いた正面には山羊どもが集まっていた。

詰みだ。

最期の最期まで、うまくいかねえ人生だったと、いい加減に笑いすらこみ上げてきた。


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どうしたらティアを傷つけないか、どうしたら、ティアを悲しませないか。

そんな打算的なことばかりを考えている内に、俺は懐かしい昔話に相槌をうつことすらおろそかになっていたらしい。
ティアから、鼻をすする音も、話し声も聞こえなくなった。
代わりに聞こえてきたのはつまり気味の、音の高い寝息。鼻が詰まるほど涙をこらえていたのか……流していたのか……俺に背を向けて窓際を向いていたティアの顔は確認しなかった。できなかった。
俺が黙ったら、死んだと勘違いして血相変えて起こしにくるかとも思ったけど、さすがに疲れてたみたいだ、そうなる前に寝ちまったようだな。
……疲れていないわけがないよな。
何日間もの間、ずっと緊張しっぱなしで、今日になって突然ライラさんは暴れるし、結局俺の呪いは解けなくて街中かけまわることにはなるし……。
こいつには本当の最期の最期まで世話になっちまった。

──ありがとう。言えなかったな…。

でも、書き置きで礼なんてナンセンスだ。

思い立って、ティアが起きない内に俺は部屋を出た。
部屋を出る際、寝言が俺の名前を呼んだので一瞬踏みとどまったけど、結局俺は姿を消すことにした。
書き置きは、部屋の隅に立てかけてあったさんごの杖に
『返しに来い』
とだけ貼り付けた。
……我ながら最高に無責任だ。結局俺はティアに対して責任を持てなかったんだな。
でも、俺はこの街でティアの本心を聞けた。
ティアは、俺の勝手な旅に振り回されてただけだったけど、確かに『楽しい』と思っていてくれてたんだ。
俺がいなくなったら、その気持ちがどう動くかはわからない、けど、俺がいなくても、ティアには旅を続けてほしい。
本当に無責任だ…けど、それが、俺なりのティアへの責任。
俺の勝手につき合ってもらって、それでも楽しいと思えてもらった、それを忘れないで、旅の価値を純粋に見てほしいと思ったんだ。

俺だけが世界の全てじゃない。

ティアだって、この短い旅の間でも充分にそう思えてたはずだ。

俺は死ぬ。ひょっとしたら…もしかしたら、死なないかもしれない。
どちらにしても、書き置きに別れの言葉は残さない、俺との別れを旅の終わりにしてほしくないからだ。
そして、旅を続けて、さんごの杖をもって世界中をまわってほしい。
最後に、旅が終わった後で『最高の旅だった』と言えたとき、あいつの手元に俺のわがままが残っててくれたら何となくうれしい。
女々しいけどな。

灯りの消えた、暗い貸し出し住宅の廊下を物音を立てずに抜けた。

リビングの端で、銀色に光るものを見つけた。
それは耳先だけを動かし、ただただ藍色のガラス窓を眺めていた。
その後ろ姿に現れる迷いの無さに、なんだか自分が無性に情けなく感じられる。

「──よぅ、タマ。やっぱり起きてたか」

声をかけてやると、やる気のなさそうに、尻尾だけが起きあがった。振り向かない。
あんまり聞いてくれる気もなさそうだけど、タマにも言いたいことがたくさんある。
正直タマと過ごした期間は短かったけど、俺はティアの次にこいつを信頼している。
これからは、タマがティアの正真正銘の相棒だ。先輩が後輩へと授けるモノは重くて大事なんだぞ。

「これからティアのこと、よろしく頼むよ。
時々あいつよりもお前の方がしっかりしてるからな……。
お前にも世話になった。恩返しらしい恩返し、できなくてすまんかったよ。
それどころかちゃんと元の姿に戻してやれなくて悪かった。デカくて強いけど、それじゃ不便だよな、すぐ腹減るし……。
それと、あと……──っ!

俺の言葉を遮って、タマの尻尾が大きく右から左へと振れた。

『わかったから、ティアが起きない内にさっさといけ』

……か。
まだまだ仔ウルウルフのくせに……わかってるじゃん。

「……お前で良かったよ……タマ。
安心した!もう心残りはねえよ。
……でもさ、鳴き声……一回くらい聞かせてくれてもよかったんじゃねえのか?」

俺の言葉に、タマはつまらなそうに鼻息をもらした。
タマは、案外黙ってる方がわかりやすいのかもな。

「──そうだな。お前が鳴くまで一緒に旅をできなかった俺が悪いか……。
野暮ったかったな」

話は終わりだ。
タマの元へと歩み寄って、一発だけ、剛毛の背中に張り手をくれてやった。
鼻先で殴られた。

外へ出た俺を待っていたのは、虫の鳴き声と、建物の間を風が抜ける音。
時間は確認しなかったけど、もう街の中には人っ子一人いない。

後は、死に場所を選ぶだけだ。


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十と数秒ほど、何も乗っていないスプーン黙って見つめていたティア。
やっとのことで出てきた声は、まだすこしかすれていたけど、ちゃんと聞こえた。

「……一緒にいて……いい……?」

ティアの口から出された言葉は、俺ののどを詰まらせた。

「やめろよ……」

俺まで泣きそうになるようなことを言う。

「研究…邪魔しないから……最後くらい……」

やめろよ。

「……」

黙ってうなずいてやるぐらいしか俺にはできなかった。
俺が今、どんな顔をしていたのかはわからないけど、タマが興味深そうにこっちを見ていたのはみえたからきっと珍しい顔をしていたんだろう。
動けない、少しでも動いたら、こぼれる。

悔しい、悔しさでいっぱいだ。
俺はまたティアに無理を強いてる。
こいつはこんなに大きく、しっかり成長してるのに俺はいつまでたってもこんなんだ。

その後は黙ってチャーハンを完食した。

食後のティアはなるべく会話を途切れさせないようにずっと話しかけてくれた。
うっとうしいくらいに、食器を洗いながら、トイレに入っても、風呂に入ってても。
トイレからでも、風呂からでも。
いつもと変わらない馬鹿話ばっかり。

よく考えると、こうしてゆっくり馬鹿話をするのもひさしぶりだった。
館を見つけた時以来じゃないだろうか……?

かすれた明るい声がまた俺の心を押しつぶす。

結論から言うと、俺はできればティアと一緒にいたくなかったからだ。

そうだろ?俺はいつ死ぬかわからないんだ。
俺の死に様は、こいつの中に一生の傷として残るに違いない。見せたくなかったんだ。
それなら、死ぬ前にそっと姿を消して、俺が『いなくなってしまった』ってことにして、諦めてほしかった。
旅に出ると言った夜、こいつがどれだけ泣いたのかを知ってるし、その後も死ぬほど泣いたであろうことも容易に想像がつく。
そんなティアが、俺の死体なんて見たら……想像するだけでも死にそうだ。

こんな日に限ってティアはなかなか寝付かない。

やることが尽き、結局研究にも手を出さなかった。その時間すらもったいなくて、俺は黙ってこいつの声に耳を傾けてたからだ。

俺は床の上に掛け布団を敷いて、ティアはベッドの上で横になってる。
ベッドの上からは昔話が聞こえてきた。

森で見つけた大トカゲから泣きながら逃げ回ったことや、ティアからのなぞなぞを解くのに、頭の固い俺は二日かかったこと、初めて雪合戦をしたときの話、ティアをはめようと俺が掘っておいた落とし穴に、手合わせ中に俺が落ちたこと。

本当にどうでもよくて、馬鹿馬鹿しい話ばっかりだったけど、その話の一つ一つが馬鹿馬鹿しければ馬鹿馬鹿しいほどに、俺はこいつと時間を共有していたことを思い知らされる。

話の合間合間に鼻をすする音が聞こえてきて、耐えきれなくなってくる。

いっそ寝かしつけてやろうかと俺は昼に見たライラさんの睡眠魔法を思い出してみた。

いっそ抱いてやってみたら安心するんじゃないのだろうかと、身体を起こしかけもした。

でも、どんな方法を探っても、どんな頭を巡らせても、俺にはティアを泣きやませる術を出すことができなかった。

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