思えば俺は取り柄がない。
剣……は得意かもしれないけど今となったらティアとどっこいどっこいかもしれない、魔法だって戦えばティアとどっこいかもしれないけど、アイツは初めてみた強力な結界を平気で破ったり、素手でリリーナをボコしたり、今の俺でも出来ないようなようなことを平気でやってのける。
リリーナなら俺も素手で勝てるかもしれないけど、あいつみたいに素手で強力な魔法を連発したり、ましてや全方位からの魔法を顔色一つ変えずに全てマジックキャンセリングなんて俺には出来ないよな…

……昔からそうだ、あいつは……なんでも……
いや、才能だけじゃない、努力家なのは知っている。
けど、あいつは俺が努力じゃ追いつけないようなところまで突き抜けている。

あいつを守る。

おこがましいかもしれないけど、俺の頭に芽生えたそれは、ただのくだらないプライドだったのかもしれない。
ティアは俺よりすごいヤツだ、なんでも俺より上手にこなすし、ほんとうなら喧嘩をしても俺と互角だ。
だから昔、あいつをいじめる悪ガキとか、雑魚な悪ガキに泣かされるティアが許せなかった。
ティアは優しいから、恐れられるのを極端に怖がるから……やりかえさないんだよな、勝てるのに。
タチの悪いことに、あいつ自身もそれに気づいているから何もできない悔しさで泣いていた、そうだ、その気になれば悪ガキどもの冷やかしなんて素手から放つ魔法でも、当時は未熟だった剣でも、いつものあいつの笑顔でも、なんだって使って黙らせることができたんだ。
……けど、あいつはそういうとき、決まって泣いていた。
魔法をガキにみせたのだってたぶん独りになるきっかけをつくった一回だけだったんだろう、俺がみせろっつった時は怒られたからな。

当時からバカだった俺は、そんなことにも気づかないで悪ガキどもを懲らしめてたっけ。
というか、あいつが悪ガキに冷やかしを受けるようになったのも俺のせいだった。
俺は別に街のガキから恐がられてたりはしなかったからな、単に『剣がすごいやつ』って認識しかされてなかったんだ、そんな俺がティアと遊ぶようになったから『森の魔女っ娘』も実は大したことないんじゃないかってナメられるようになったんだ、今にして思えばだけどな。
それで、悪ガキどもを力で黙らせてティアを守った気になっていた。
あいつの言う『ありがとう』に浮かれて何も気にしちゃいなかった。

度々涙を流すあいつを笑わすのが俺のつとめだと勝手に思っていた。

俺がティアに与えたものはなんだったんだろうか。

ふと気になり、ベッドに視線をうつしてやる。
あの緊張感のない寝顔は、俺をどう思ってんのかな、今、力をなくしてしまった俺をどう感じているのかな。

今の俺には、こいつを守ってやることすらできない。

そうなったとき、俺はこいつに誇れるものなど何一つ無い。

──あの夜、俺はあいつを泣かせたな──

俺がいなくなることがそんなにつらかったのか…?
ははっ、冗談……

………でも、俺も……な。

ペールタウンで惚れ薬を作ったときに納得したはずなのになぁ……タマジローさん、教えてくれよ。なんだよこれ。なぁ。
劣等感?嫉妬?わからねぇ、でも、虚しい。

正直俺には自信がない……ランスの言っていた『俺とティアとの今後』って…なんだったんだろうか。
ランスとリリーナの今後ってなんだよ。

『アリエスアイレス1の魔法使い』……か、あれが文字通りの意味だったとしたら、あいつにとって俺はもうそれですらねぇ。

……

…………

………………

明るくなってきたな。
こいつは早起きだ、そろそろハニートーストのレシピをまとめねえと……。


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長く書き続けてきた作品を書くのをやめるということは、きっとこういうことなんだ!!

私は書き続ける!!





──次から次ぎへと右から左へと、問題ばかりが立て続けに起きる。
ほら、今だってそうだ、おかゆはスプーンが突き立てられっぱなしでただベチャベチャの冷や飯。
ハンバーグは鉄板に裏面だけがしっかりと焦げ付いていた。
タマは巨大な身体をベッドの隣に横たえてすやすやと寝息を立てていた。
ベッドではティアがもにゃもにゃいってる。
パジャマはもう使い物にならないし、時刻はもうすぐ深夜と呼べるほどに更けたのにも関わらず、さっきまで寝ていた俺はもう眠気なんてこれっぽっちも無かった。

不気味な異変が起きたもんだ。

傷のことじゃあない、治らない傷はその後ティアとともにヒール屋へと駆け込んで治療をすませたからな。
深夜料金ってことでがっつりふんだくられたけど、なんかティアが申し訳なさそうに『全部、私が出すから』なんて財布を漁り始めたから俺は先に治療費をヒール屋に手渡した。
実際あんなに怪我を負ったのはティアのせいとは言い難い。
俺が弱くなったから、ティアが目一杯手を抜いてくれていたにも関わらずあんな失態を曝したんだ。

問題が起きたのはやはり俺の身、治療を済ませてさぁ飯だと帰ってきた俺とティアは順番にシャワーを浴びることにした。
さっさとティアをシャワールームへとぶち込んで、俺は散らかった米粒を拾う作業に勤しんでいたんだ。
まもなくティアは戻ってきて、交代で俺がシャワールームへ向かって、シャワーを浴びながら俺は身体を洗っていた。
頭を洗って上から下へと…そこで変なことに気づいたんだ。

ふともものあたりに、見覚えの無いあざが残っていた。はじめはヒール屋が手を抜いたと思ったんだ、かなりしっかり残ってたからな。
でも、痛くない、不思議に思った俺は、そのあざをよーく見てみた。

それは
小さな手形
だったんだ。

ぞっとしたぜ、まさに若い女の子のそれ。
はじめはティアのものかと思ったけど、どうもティアの手よりも小さかったように思う、つか、ティアのわけがない。ティアは俺の足になんて着替えさせる時以外さわってないだろうし、あいつがこんなあざを残す意味がないしな。
記憶の塵を探っていってたどり着いた一つの心当たり、それがあった方の足は、紛れもなく『ヤツ』に掴まれた方の足だった。
掴まれた場所は全く違ってたけど、それ以外に心当たりもなかったからな。

すぐにシャワーを済ませた俺は念のためにティアのもとへと確認に向かった。
その時は確か、こんな会話をしていた気がする……

………

「ティア!みろよ!これ!」

「えっ!?……ちょっ!?なに!?お色気サービスのつもり!?もぐもぐ!」

すぐさま部屋へと戻った俺の前にはさめたハンバーグをおかずにベチャベチャのおかゆを咀嚼するティアの背中があった。
その間抜けな、どこかあいらしい猫の顔がたくさん印刷されたもこもこパジャマ姿の背中が上半身ごと振り返って俺の姿に驚嘆している。
首が180度回らなくてよかった……
……つか、おれのおかゆ……

「違うって!お前が俺のこと着替えさせたときこんなあざあったか?ってのをだな…」

俺は、自分の膝上あたりを指さしてティアへと確認をとらせた。

ぱたぱたもぐもぐと、口を押さえつつかけてきてまじまじと俺の足を見つめていたティアは突然声をあげたかと思うと、今度は俺の足首のあたりを確認し始めたんだ。
落としたコインを探すようにしゃがんで、息と一緒に口の中のものを飲み込み、緊張した声で空気をふるわせた。

「あれ……?
……消えてる……」

なに?何だって?

「消えてる?何が?」

「いや、私が着替えさせたときはそのあざ、というかそれにそっくりなあざがユウが足を掴まれた部分にあったはずなんだけど……」

「はずなんだけど?」

「……見ての通りだって言ってるのよ……
見間違え……?
いや、そんなはずは……」

人差し指を顎に当てつつ中空へと視線を泳がせるティアの様子、どうもふともものあざにはこいつも心当たりなんかなくて、むしろ心当たりがあったあざが消えているらしい。

「……移動した?この三日で?」

「や、やめろよ、気持ち悪いこと言うなって……」

ずっとうなされていたみたいだからな、ヤツに。
少しでもヤツとこのあざは関係立てないで欲しいな、不気味なことこの上ないし。
そして的確すぎんだよ、不安をあおるのにさ。
確かにそのあざは見ればみるほどに不気味だった、指が全部俺の首の方を向いていて、のこったあざは左手の形をしていたんだ。
……ヤツは確か右手で俺の足をつかんでいた、そしてこの左手のあざ。
ティアの言うとおり、掴まれた箇所にそのあざがあったなら、だ、そのあざはなんとなく、俺の身体を這い上がってきているような印象を受ける配置だった。

──そこから先は無言が流れたり、いろんなこじつけをお互いに立てあって安心感を得たりで結局あざについては様子見という案でまとまった。
結果として俺もティアもなんとなく館のあれを思い出して食欲をなくし、食器を片づけることも、むしろ食事を片づけることもせずに床についた。
ティアはなぜか俺のベッドで寝息を立てている。
ずっとつきっきりで俺のこと看ててくれてたらしいし、きっと色んなことがあったのと重ねてつかれたんだろう、お疲れさん。

明日の朝食は俺が用意しとくか、ハニートーストみたいなのなら俺でも作れるだろうし…


それよりな、問題は……俺の弱体化だ。
明日からの旅、どうなっちまうのかな………


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秋がきました!と、私は確信しております!
私は秋が好きです!
日中の生ぬるい風、夜の冷たい空気が鼻を抜けるときの匂い、そして、空が高い!!

あの、なんですか
キーンと冷える感じ?寒くはないけど、日中との温度差で涼しさが際だつ感じ!
秋は私にとって何かと思い出深い季節なのかとおもいます、明確に秋に記憶はありませんが、機嫌がよかった時期は常に秋だったような気がします!

ノアのはこぶねを本格的に書き始めたのも実は去年の10月です、それから書きため書きため、1月のブログ開始とともにどーん!とならべたのをおもいだしますね(*´▽`*)

………あれから、一年か……そうだ、あれからほぼちょうど一年だ……

元気にしてますかね、あの人は(´-`).。oO


















ぶっちゃけ最近思い出す機会減ってきた(笑)


私は小説に関して、ド素人です。

読みもしなければ、実はまともに書けもしない、むしろ書き方すら未だにわかっていない節があります。

そんな私の書く稚拙なお話がすでに200回を突破していました。
黙々と、物語のラストだけを見据えてひたすら書き続けてきました。

ふと、顔を上げてまわりを見ることがあります、小説を書くのは私にとっての一種の現実逃避であって、実は私の現実にはあまり深く作用していなかったりします、内面とか、人間関係はすこし別のところに置いてね。

私が小説を書こうと書かまいと、私の生活はほとんど変わらないのです。

少し書く手を止めて現実に視線を戻したとき、それはより強烈に実感させられます。
何も変わらぬ日常、小説を書くことによって得るものとはなんなのか、意味などあるのだろうか、そういう怖いことを考え始めると私は書かずにはいられなかったのです、だから毎日毎日書いてきた、これからも書こうと思ってここまできた。
少なくとも、書いてる間だけは、そんなことも忘れられたから。
で、私はそこに何を得た?
で、私は読者様に何を与えた?

創作は孤独です。

もしかしたら、誰も読んでくれていないかもしれない。
もしかしたら、まだこんなくだらない駄文を連ねているのかと、鼻でわらわれているかもしれない。
読んでもらったところで、つまらないと感じられているのかもしれない。
また、今回書くことにより、読者様の信頼を失うかもしれない、飽きられるかもしれない。

卑屈でマイナス思考かもしれません、けれど、物語を書く人はみんな一度は考えたことがあるのではないですか?

こんなことを考え始めたら、それまであんなに綺麗で楽しかった自分の物語がとたんに色を失い、味気ないものになったりしませんか?


私の中で、私の現実逃避は色を失いました。


無理矢理色をつけようと、設定を煮詰めなおしたりしようとしたのかもしれない、絵を書いたのかもしれない、今より先に見据えたストーリーを文字にしてみたりしたのかもしれない。

何をやっても、味気なかった。

もしかしたら、久しぶりに『もうやめてしまおう』とか考えていたかもしれない。
そして今、そんなことを考えていたかどうかが思い出せないほどに、それについて考えていない。


燃え尽きた…
こういう感情を指すのかもしれないですね。



それでもきっとやめないとは思います。
けど、更新はきっと不定期になります。


これを文字にして、ブログにあげたとき、なぜかほっとする自分に気づく私もいるのでしょう。


くやしいけど、これが本心なのでしょう。