「いいか、俺がビーストウォーリアを使って奴に対して───

「フロスト=ジャベリン!!」

「切影飛爪刃!!」

飛竜の頭部で氷塊が砕け、翼には数連の斬撃が直撃する。

「っ!?お前らっ・・・!?」

「またタマサブローみたいになられちゃ足手まといだからな、そのままで頼むぜ、タマジローさん・・・!!」

冷や汗を拭いながら、ユウはタマジローを諭す。
しかしその声は震え、表情は緊張と開き直りの色をしていた。

「タマジローさんにもしものことがあったら・・・!!
もうアイリを泣かさないでください!!」

ティアの構える剣も、切っ先が震えている。

「っの馬鹿野郎共!今ので奴は完全に俺らを敵とみなしたぞ!
さっさと逃げやがれ!」

「へっ・・・へへ、、、餌か、敵か・・・ならな・・・」

「う、うん・・・窮鼠猫を噛むって・・・」

飛竜が再び咆哮をあげる、しかし先ほどとは違う、明らかな怒りと、敵意をもって。

「ひっ!・・・うわああっ!!
フレイム=メテオールっっっ!!!」

巨大な火球が飛竜の頭上に現れ、落下する。

「うわあああ!!」

ティアがそれに続いて剣を構えて飛竜へと向かう。

「ティア!突っ込むな!!」

タマジローが風の魔法でティアを押し戻した。

「ユウみたいな遠距離から攻撃できる魔法ならともかく!接近戦は危険だ!
落ち着いて・・・隙をみてたたみかけるぞ・・・!!」

「・・・なっ!?」

「そらみろ、突っ込んでたらどうなってたことか・・・」

確かにフレイム=メテオールは直撃だった、にも関わらず、飛竜はブルブル首をふるだけでのしのし歩いている。
効いていない。ほとんどダメージがない。
次の瞬間、飛竜が駆ける。

「うっ!うわっ!きっ・・・!」

「ビビるな!避けろ!」

「わああああっ!」

間一髪、全員飛竜の突進を避けた。
後ろの扉は無惨にも崩れ落ちていた、三人は天井の穴の下へ向かって走る。

「うっ、あ、あんなの・・・まともに食らったら・・・」

「今すぐ逃げてもいいが、すぐ追いつかれるだろう・・・」

「せめて、片方だけでも翼を潰せれば・・・ですね・・・」

飛竜は大きく息を吸っている、その様子を見たタマジローは慌ててユウに指示を出す。

「あっ!アイツ、まさか!
ユウ!壁だ!急げ!!」

「フッ!フロッス!!ト!!うおおお!!」

言い切る前に三人の前に巨大な氷の壁が張られる。
と、同時に飛竜は炎を吐いた。

「わっあああ!火吐いた!!?
ユッ!ユウ!フロスト=ウォールじゃ溶けちゃっ!わああああっ!」

「落ち着け!ティア!数秒なら俺の風で押し返せる!
ユウの壁は時間稼ぎだ!」

宣言通り、タマジローはユウの張った壁が溶ける頃に炎を風魔法で抑える。
しかし炎が掃け、視界が開けた瞬間、三人の目の前にはすでに巨大な顎が迫っていた。

「ひっ!」

「きゃあ!」

「っの!!」

ユウが杖を前に突き出し身を守ろうとし、ティアが頭を抑えてしゃがんだ時。
タマジローは前へと出た。

そして2人の前に、大量の血が飛ぶ。
飛竜が口からダラダラ血を流して後ろへと飛び退いた。

「っ!ちょっといてえ!」

「「タマジローさん!?」」

「問題ねえ!それよりわかっただろ!?お前らにコイツは早え!
黙って俺に任せて逃げろ!」

タマジローは飛竜の口の中に双剣を構えて腕を突っ込んでいた。
歯の裏まで入った双剣は上下に向けられ、かみつこうとしていた飛竜の歯の裏の柔らかい部位と舌を貫いていた。
が、飛竜が痛みを感じて口を開くまでに微妙なラグがあり、牙が少しタマジローの腕に食い込んでいたようだ。
タマジローの傷は大したものではなかったが、双剣を使うタマジローにとって、強敵を相手にするときには食らいたくない部位に攻撃を受けてしまった。

「・・・万事休すってか・・・いや、まだ、俺には・・・」

飛竜が狙いをタマジローに絞った。
飛び上がった飛竜はタマジローを目掛けて爪を落とす。

「「タマジローさん!!」」

血が、またも噴き上がる。

「アイリがいるんだ!死ねるか!」

飛竜の腹に十字の傷が入っていた、タマジローはうまく爪をかいくぐるだけではなく、カウンターのおまけをいれて無傷で攻撃を抜けた。
しかし飛竜が大きく尻尾を振り回し、タマジローは吹き飛ばされる。
吹き飛んだタマジローを追うように、飛竜は身体を翻し突進を繰り出す。

「まちやがれ!ウィンド───

「っ!飛爪───

((間に合わない!!))

何とかして飛竜の注意を自分達に向けさせようとするが、タマジローへと突進で向かう飛竜に対して、追いかける形で攻撃をしても間に合うはずがない。
ユウが絶叫し、ティアが目を閉じたその時。

「ふふふ、『赤棘』」

冷たく、重く響く声。
タマジローの目の前に真っ赤なロープが縦横無尽に張り巡らされる。
飛竜はそのロープに突進すると、それに身体を巻かれ、焼かれる。
肉が焼ける匂いと、飛竜の叫びが辺りに広がった。

「こっ!これは・・・!?」

「えっ!?」

「っぐ、いてえ・・・生きてるのか?俺は・・・」

もがく飛竜、見るからに高温な炎のロープ。
三人の内、1人もこの魔法を見たことがあるものはいなかったが、先ほどの声は三人とも聞き覚えがあった。
混乱状態の三人の目に、一人の女性が映る。

「感心しませんねえ、タマジローさん?
アイリさんのことあんまり泣かせるようなことをすると、怒りますよ?」

その女性はそっと炎のロープの上に立ちタマジローを見下ろす。
その姿に、ユウとティアが声を上げる。

「「おっ!!お姉さん!!?」」

「うふふ、遅くなってごめんね?若いの。」

「う・・・受付ちゃん・・・どうして・・・こんなところに?」

ペールタウンの受付嬢、三人にリュックの持ち主が受けていた依頼を勧めた人間。
受付嬢は炎のロープで軽く反動をつけてそこから飛び降りた。
飛竜が一瞬蛙のような声を上げる。

「受付ちゃんじゃありませんよ、今は『救援ちゃん』・・・いや、これも正しくはありませんね。
何を隠そう、わたくし、依頼の中止をあなたたちに告げにきたのです。」

「えっ!?お姉さん!!なんて!?」

「あっ!・・・なるほど・・・」

受付嬢は後ろ髪を手で払いつつ話を始めた。

「焦るんじゃないの、ユウ・ラングレル。
実はね?お姉さん、『ある失敗』をしてしまってね、さっき所長さんに大目玉を食らったのよ。ふふふっ。」

「ある・・・失敗?」

「そうなの、お姉さんね、疲れてたみたいで『間違えて』ノーランクとブロンズランクの旅の人達にシルバーランクの依頼をうけさせちゃったのよ。ごめんね?」

「さっ・・・さすがだ・・・お姉さん・・・」

ティアは目を丸くして受付嬢の話に耳を傾ける。

「あなたは出来る子ね、ティア・アルノーティス、うふふ。
それでね、お姉さん『たまたま』あなたたちの行き先を知っていたから所長さんにお願いしたの、『すぐに依頼の中止の連絡に行かせてくれ』ってね?
神様は優しいのよね、お姉さんの今日中に終わらせなきゃいけない仕事がその時点で『偶然』終わっていたから、特別に外出許可をもらえたのよ。
どう?ここにお姉さんが今いること、『全然不思議じゃない』でしょ?
納得してくれたかしら?」

ユウとティアは生唾を呑み込み、嬢の話に頷く。
しかし、タマジローが気になったのはそんなことではなかった。
タマジローはヨロヨロと立ち上がり、受付嬢へと話しかける。

「うー、いてて、助かったぜ、受付ちゃん。
しかしその魔法は・・・はは、驚いた、驚いたぜ・・・」

タマジローの額に冷や汗が光る。

「その姿は美しい少女で爪を隠すのがうまいと噂だったな。
十年くらい前か、王国の魔導士試験で試験官を杖も指輪も魔導書も無しにボコボコにし、止めに入った他の王国魔導士も全員ボコボコにし、無条件に試験は合格、見事史上最年少王国魔導士になる資格を得るもあっさり蹴り、姿をくらました。
そいつの使う魔法は異常なまでに高密度、高温の炎魔法。
理論的には不可能な密度まで魔力を圧縮して、触れるものの全てを焼き尽くす。
全く、嫌になるよな、ティアといい、受付ちゃんといい・・・天才か・・・憎たらしいぜ。

『無杖のマリエッタ』

お前さんで、間違いねえだろ?」

「ご想像にお任せしますよ、タマジローさん。」

飛竜が大声を上げ暴れまわり、炎のロープは千切れ、消える。
飛竜は解放された後も地面を転がり暴れまわる。

「いい子ね、ちゃんとお姉さんの話が終わるまで待ってたのね?

タマジローさん、手伝ってくれません?
私ひとりでもなんとかなりそうですが、骨が折れます。」

タマジローは無言で頷く。

「若いの達は見ていなさい。
終わった後で全部説明するわ、地図の赤い印の意味、この遺跡の正体、飛竜が突然ここに攻め入ってきて暴れた理由・・・。

しかし・・・ここの魔力を全て落としたのは驚いたわね・・・そのことについては後で教えてね?」

「来たぜ、受付ちゃん!」

起き上がって咆哮を上げる飛竜に、二本の剣を構えた男と、丸腰の女が向き合った。
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絵の練習してなかったのです(笑)

いや、別に描けなくてもいいけどさ、描けた方がなんかいいじゃない?
で、今日は寝る前にさらさらっとテキトーに描いてみました。

なんか、えらい人のお話だと、絵の練習には時間かけちゃいけないらしいので寝る前の空き時間使ってさらさらっと。

さらさらっと。

なんかこのさらさらっとって響き、良いですね。さらさら感が半端じゃないこの語感。



うん!

全 










気にしない気にしない、なんでも気長にやってみるのです。
なにも焦る必要なんてないし、最終的には目標に行き着かなくてもいいんです。

自己満足で充分!

ついで、前に描いたもの

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓





「っやあああ!!!」

ティアは地面に向かって思いっきり杖を叩きつける。

「ぬっ!?」

「うおっ!?」

ティアを中心にして、風が吹く。

「お!おい!ティア!?何してんだ!?
玉!なんともねえぞ!?」

「・・・大丈夫だろ、タマジローさん。
あいつが意外と切れ者なの、タマジローさんだってわかってんだろ?
壁、やろうぜ。
・・・おりゃっ!」

ユウとタマジローが鎧と対峙し、ティアはもう一度杖を叩きつける。

「・・・っ!
電気を・・・一つ一つ消すのが大変なら・・・」

さらに叩きつけ、また、叩きつける。

「ブレーカーを・・・落とせば!!
・・・どこだ・・・ブレーカー!」

もう一度叩きつけたところで、ティアは魔力の大元を突き止める。

「・・・ん?今、魔力の響き方が不自然だった・・・守られてる何かが・・・封式は・・・」

ティアは杖を持ち替え、杖尻を地面に突き立て、そのまま魔力を送り続ける。

「いって!野郎!
タマジローリフレクトカウンターゼロ式!!」

(っ、タマジローさんも怪我を・・・早く、早くブレーカーを・・・!
・・・封式はこれでよし、蓋は開く。
後は・・・壊す!!)

「ユウ!タマジローさん!準備が出来ました!
暗くなるかも!!」

「え!?暗く!?」

「・・・なるほど、やっぱりユウより切れ者だな・・・」

ティアは一度地面から杖尻を離し、再度渾身の魔力で突き立てる。

「ユウ!念のためだ!マジックフェアリー用意しとけ!」

「うっす」

「壊れなさい!!」

次の瞬間、鎧の動きが止まる。
部屋の明かりも消えた。
しかし、所々で青い炎が一瞬上がり、消える。

ユウとタマジローがマジックフェアリーで部屋を照らすと

「・・・っはあ、終わった・・・サンキュー、ティア。」

「少し休憩しようぜ、よくやった、ティア。
アイリは連れてこなくて正解だった。」

鎧の姿も、浮いていた玉もなくなっていた。
全て大トカゲと同様に、燃えてなくなった。
魔力が尽きた証拠である。

「しかしこれだけ厳重な魔法がかかってたんだ、次の部屋には本当のお宝があるかもな・・・」

「ふう、あ!
お菓子持ってきたんだけど、食べる!?」

「え!?本当か!?ティア!食う!
・・・あれ?俺が手伝った時はそんなの入れた覚えないんだけど・・・ま、いいや!食う食う!」

「お前らあんだけ焦った後に・・・遠足気分かよ・・・アイリの手作りなら俺も食う!!」

ティアは三人の荷物を拾いに部屋の真ん中へとかけていく。

───休憩開始から数十分は経ったであろうか、三人の疲れがとれてきた頃。

「俺も詳しくはしらねえが・・・アイリの料理はな?」

「「うん!うん!」」

「あらかじめ下味の時点で───

遺跡の奥で巨大な音が響いた。
地震のように遺跡全体が揺れる。
同時になにかが恐ろしい勢いで崩れる音、巨大な翼の音も聞こえてくる。

「ぬおっ!?なんだ!?人がアイリの料理について語ろうとしてるときに!!」

「すっすぐ!隣の部屋じゃなかったですか!?」

「なっ!?なんか!?暴れてねえか!?なんか!?ギャースギャース言ってねえか!!?」

三人はすぐさま立ち上がり、隣の部屋へと足を運ぶ。
そして扉を開けたとき、三人はすぐさま戦闘態勢に入る。

「はあん!?聞いてねえぞ!?こんなの!
つか!・・・やべえぞ・・・俺たちだけでなんとかなるのか・・・?」

「こ・・・これが・・・!
でも、どうしてこんなところに・・・?」

青ざめ、少し震えるティア。
三人が扉をぬけた時に広がったのは広大な部屋、奥には何かあったのだろうが瓦礫で埋もれていた。
瓦礫が落ちて来たのであろう天井を見上げると、そこには大きな穴が開いていて、そこから差し込む陽光により部屋の中は外より薄暗い程度に明るさを取り戻していた。

そしてそんなものよりも三人の目を引いたもの
・・・瓦礫の上で暴れる巨大な生物。

恐ろしいトカゲに翼がついていると言ってしまえばそれまでだが、決してそんな簡単な言葉では片付かない威圧感を放つそれに、三人は命の危機を覚える。

「ず、図鑑でしか、みたことなかったけど・・・なんだよあれ、本当に生き物なのか・・・?
どんな進化したらあんな羽生えるんだよ・・・飛ぶんだよ・・・化け物だ・・・角なんて・・・悪魔じゃねえかよ・・・!」

飛竜が、遺跡の天井を外部から突き破って侵入していた。
そしてそれは三人に気づいて巨大な咆哮をあげる、その声を聞いたとき、三人は確信する。

「・・・っ!勝てねえ!
やべえぞティア!タマジローさん!?どうする!?逃げきれるのか!?」

「いっ!一旦遺跡の内部に!!」

「だめだ!仮にアイツが追ってきたとして、遺跡の中で暴れられたら遺跡自体崩壊するかもしれねえ!
そうなりゃ俺たちみんなぺしゃんこだ!」

「じゃあどうするんだよ!?」

ゆっくりと、巨大なそれは三人に近づいてくる。

「飛竜ってのは・・・賢いからな・・・かろうじてまだ俺たちのことを敵とはみなしていねえ。
油断してるウチになんとか足止めして・・・天井の穴から逃げるぞ!」

「で!でも!足止めって!?どうやってやるんですか!?」

「・・・、ビーストウォーリアを・・・使う!
未完成だからな、俺の身体がどうなるかはわからねえが、時間ぐらいは稼いでみせるさ。
その隙にてめえら揃って逃げやがれ!」

「「!?」」


「・・・どっちが本業なのかわからねえな、お前ら・・・」

「もちろん俺は魔法使いさ!
ただ、やっと剣に魔法が追いつきそうなだけのな。」

「私は剣士ですよ!
元魔法使いなだけで!」

言い終わるとユウは一瞬で周りの鎧を砕き飛ばす。
ティアはぐるりと杖をふる。
ティアの周囲からさらに地面が突出し、氷の刃から鎧を抜き飛ばす。

「よ、よし、取りあえずティアを守るぞ!ユウ!
ティアは鎧を気にしないで思いっきりぶっこわせ!」

「OK、タマジローさん!
ティア、任せた!」

「出口のそばで壊しにかかります!2人ともその辺りを固めて!」

ティアは即座に風魔法で上空へ離脱、そこから出口付近で固まっている数体の鎧へ視線を向ける。

「退いて!」

杖の先に魔力が集まり、同時に塵や小石が集まる、それらは渦を巻き、みるみるうちに巨大化し、そこらの鎧の破片すらも吸い寄せる。

「ウインド=スフィア!!」

杖先から放たれた風玉は出口付近の鎧たちの中心へと落ちる。
直後辺りに暴風が吹き荒れ、鎧たちは見事に出口付近よりかなり離れた所まで吹き飛ばされる。

「張り切ってやがるな、ティア。」

「ほれ、行くぞ、ユウ。
今のうちにティアに続いて盾になるぞ!」

ユウとタマジローはそれぞれの武器を構えて出口へと駆ける。

「来たぞ!」

「もう俺の獲物横取りしないでくれよ?」

先に武器を振ったのはタマジロー
右、左、上、下、変幻自在に流れる刃に加えて予測のつかない足技、身のこなし。
まるでタマジローが通るために道をあけるかのように鎧はタマジローの通過と共に飛ぶ。ユウも負けじと加速する。
横凪一閃、駆け抜けと同時に裂いていく。
タマジローとは対照的な直線の動きで確実に鎧の動きを止めていく。

一方ティアは部屋の魔力を破壊するために力を振るう。

「とりあえずね、出口の封印・・・っから!!」

出口の前で先ほどの結界破壊と同じように勢いよく杖尻を地面に落とす。
風船が割れるような音、扉の封印は壊れなかった。

「・・・む、ダメか、ちょっと封式が違ったのかも・・・」

ティアはもう一度杖に魔力を込め、次は杖先で扉の封印そのものを突く。

乾いた竹が割れる様な音がして、結界にヒビがはいる

「おお、いけるかも・・・あれ?」

一瞬、次で壊せるかと思ったティアであったが、あまりの出来事に首を傾げた。
その場にユウとタマジローも到着する。

「・・・っと!雑魚は一通りのして来たぜ、どうせ復活するけどな!
で?なかなか良い音だしてたけど・・・どんな感じだ?
まさか俺の杖が折れた音じゃねえだろうな?」

「くそっ!一足遅かったか!ま、俺の方が壊した数は多かったけどな!」

「あ!ユウ!タマジローさん!
それが・・・あっちが正解みたいで・・・」

天井付近で浮かんで光るいくつかの玉にティアは杖を向けた。

「ほう?あれが?出口の封印と連動してんのか?」

「はい、出口の結界にヒビを入れたんですけど、すぐに魔力が供給されて塞がってしまいました。」

「ふーん・・・って!あ!おい!またあいつら復活したぞ!
ティア!こっからでもあの玉壊せんのか!?」

「問題ないよ、そもそも出口付近で壊そうとしたのは後ろが壁の方が囲まれる心配もないし、終わった後にすぐ部屋から出れるからだし。」

「そうか!じゃあこのままここで俺とタマジローさんが壁やるから、さっさと壊してくれよ!
来たぞ!」

「インターバル終了か・・・めんどくせえ。」

ユウに続いてタマジローもしぶしぶ武器を構えた。

「っし、やるか・・・そりゃ!」

杖を向けたそのままの姿勢でティアは玉の破壊にとりかかる。
玉は全部で7、ティアはとりあえず一番手前の玉を壊そうとする・・・が。

「っ!!なによ!ちょっと丈夫じゃないの!」

狙いを定めた玉にティアの魔力は届いたが、破壊に至るどころか小さなヒビ一つしか入らなかった。

「・・・てい!」

もう一度魔力を飛ばすが、さらにヒビが大きくなっただけで破壊には至らない。

「・・・っく!うううあああっ!!」

三度めにして、ようやく玉は一つ砕ける。

「・・・っう、はぁはぁ、、、無駄に・・・強い・・・」

「お!おい!ティア!大丈───っぬあっ!?
っのやろお!邪魔だ!」

鎧が振った剣が、少しユウの腕をかすめた。
僅かだが、1つ、怪我を負った。
これが意味することを知る三人は少しずつではあるが焦りを感じ始める。

「ユウ!?」

「かすっただけだ、大丈夫、とにかく、さっさとあの玉潰してくれよ。」

「このくらいでユウが落ちねえのはお前さんが一番よくわかってるんだろ?
こっちは任せておけ。ティア。」

ユウとタマジローは引き続き壁になる。

その後ろ姿を眺め、ティアの脳裏には数年前の出来事がよぎる。

ユウが囮役を買って出て、生死の境をさ迷ったこと。

ユウの死。
それが、僅かであるが現実味を帯びてきている。
部屋の真ん中で倒れるシルバーランクの旅の人の亡骸をみて、ティアの頭に恐怖が攻め入る。

「・・・だめだっ!
もしかしたら・・・あの玉だって全部壊しても鎧は止まらないかもしれない・・・!

ユウとタマジローさんを・・・死なせたりはしない!絶対に・・・!」

ティアは杖を掲げて魔力を溜める。



「まぁ!ある意味お約束っちゃあお約束か!
古い魔法の遺跡!異様に綺麗な部屋!飾ってある鎧!
うごかねえ方がおかしいって・・・なっ!!」

ユウは川を凍らせて川を渡ろうとしていた数体の足止めをする。
その上をさらに歩いてきた鎧をティアとタマジローが二手に別れて掃討する。

「数が多ければ良いってもんじゃない!!」

切影と飛爪刃を利用してティアは次々と鎧をはじき飛ばす。

「疾風!切れた双剣タマジロー斬!!」

タマジローは一人だけ浮いたテンションで暴れている。
しかしその異様な手数の連撃により、砕ける鎧すら出ている。

「アース・フレイム=ヴォルケーノ!!」

「ぬあっ!?ユウ!危ないって!止めなさい!!」

「っのやろ!!ユウ!俺達まで巻き込むんじゃねえ!!」

ユウの周囲から燃え盛る高温の岩がはじけ転がる。
直撃した鎧はへこみ、吹き飛び、凍った川まで押し戻され、沈む。
川は表面しか凍らせていないようだ。

「秘技 『火山でまさかの鎧水葬』!どうだ!今考えた!」

「今後一切使用禁止!!」

鎧の首をはね飛ばしつつティアが叫ぶ。

「しかしこいつら・・・」

タマジローは双剣を構えて鎧の集まっている一角に走り込む。
その場の鎧の数は六。
風の魔法で追い風をふかせて加速、その風を受け、一瞬鎧の動きが鈍る。
そのまま追い風とともに勢いを殺さず一体目の頭を後ろ回し蹴りで吹き飛ばし、二体目、三体目の足元で即座に身を低くしながら身体を回しつつ双剣によってそれらの足を刈り取る。
抜けきると同時にそのまま高く跳び、錐揉み一回転をのせた勢いで四体目を二刃で頭から叩き潰し、着地後反動を利用してもう一度跳ね、同じように錐揉みを加えた縦の回し蹴りで五体目もつぶしつつ踏み台に、逆手に持ち直した双剣を巨大な犬歯の如く六体目へ向け、鎧の胸部へと着地、と同時にそのままその両首筋に当たる位置へと突き立てた。

「・・・雑魚じゃねえか。」

金属同士が擦れ合う音をたてながら、タマジローは六体目の鎧から双剣を引き抜き、倒れ始める鎧の胸部を蹴り跳び、バック宙を経て地面に着地をする。

「ほんと無駄に派手に戦うよな、タマジローさん。」

「うるせえ!無駄じゃねえ!
てめえの魔法と一緒にすんなよ!」

「ああ!?誰の魔法が無駄だって!?」

ぎゃんぎゃん騒ぐ2人にティアは声をかけた。

「・・・!!
ユウ!タマジローさん!!油断しないで!
こいつら!壊した奴も含めて復活してるよ!」

「は?」

「え?」

ガシャガシャやかましい音をたてながら、鎧が元の姿に戻っていく。
まるで磁石が引き合うかのように、跳ね飛ばした頭も、砕いた武器も、壊れた部分全てがはり付き、また動き始める。

「マジかよ・・・なんだよコイツら・・・」

「わからん・・・が、やるしかねえだろ。
ユウ、ティア、長期戦になるかもしれねえ、ヘマやらかすなよ!?」

「はい!」

三人はそれぞれの武器を構え直して引き続き襲いかかってくる鎧を迎撃し続ける。
倒しては復活、また倒しても復活。
鎧は一向に減らないし動きにも変化はない。
しかし、人間である三人はそうはいかない、数セットも撃退を続けると徐々に疲れが見え始める。

「っぐ、おい、タマジローさん、変化ねえぞ!何回目の復活だよ・・・」

「・・・くそ!しらねえよ!
・・・しかししつけえな・・・」

「タマジローさん!危ないです!」

タマジローの背後で斧を構えていた鎧をティアの飛爪刃が吹き飛ばす。

「っ!すまねえ、ティア。」

「タマジローさん!私、思うんです!
こいつらみんな、魔力で動いているなら、魔力の供給源を絶たなっうわっ!
・・・った!絶たないと・・・」

ティアが横目で床に横たわる亡骸をみる。

「そうだな・・・あのダガー、錆びちゃあいたがなかなかの業物だった。
武器にこだわりがあったんだろう、そこそこ腕にも自信があった証拠だ、そんな人間がこんな奴らに殺された・・・こんな雑魚どもにだ!
おそらく俺たちと同じようにひたすら粘ったんだろう・・・が体力は有限だ。」

襲いかかってくる鎧たちの武器を的確にさばきつつ、タマジローは思考をめぐらす。

(しかしおかしいだろう、そこで死んでるおそらくリュックの持ち主は・・・ちゃんとした手順でこの部屋にはいったんじゃないのか?
ならばなぜ襲われた?
正解の方法でこの部屋に入ったにもかかわらず侵入者とみなされ、襲われた。)

「・・・ティア!
なんでもいい!この部屋の封印、魔力をため込んでるもの、全部ぶっこわせねえか!?
そのなかに多分こいつらのスイッチが混じっている!
俺らが部屋にはいってから鎧が動き出すまでに少し時間があっただろう!?
おそらくその間になにかするべきことがあったんだ!
怪しいのは上で光ってるいくつかの玉!この先の出口の封印!
どれでもいい!とにかく!さっき結界破ったみてえにぶっ壊せ!」

「・・・っ!わかりました!
ユウ!!戦ってる最中に悪い!杖!貸して!」

ティアはユウに向かって自分の剣をぶん投げる、それをユウは取らずに避ける。

ユウの背後に立って剣を振りかぶっていた鎧にそれは直撃し、その場で上空へと飛んでいく。

「もっと丁寧によこせよ。」

それをみたユウは自分の杖をアンダースローでティアへと投げ返す。

「お前ら!あぶねえ!」

タマジローの声が響く。
と同時にユウは落ちてくるティアの剣を掴み、ティアは飛んでくるユウの杖を受け取る。

「───!!」

数瞬後、タマジローは目を疑った。

「ふう、久しぶりでちゃんと使えるかどうか不安だったけど・・・当たり前か、魔法だろうと剣だろうと、子供の頃よりは強くなってなきゃおかしいよな。」

「危ないじゃないの!あと一秒受け取るのが遅かったら大怪我してたじゃない!」

ユウの周りにいた三体の鎧の武器が全て砕けていた。
そして、ティアの周りにいた五体の鎧は、ティアの周囲の地面より突き出た氷の刃で貫かれ、武器を振りかぶったままの姿でその動きを止めていた。